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Tokyo62エコ散歩

東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

第4回 "生活核都市"武蔵野で共に守る自然

かれん

 武蔵野市にやって来ました。
 東京都のほぼ中央に位置する武蔵野市は、東京23区と多摩地区を結ぶ東京の『芯』となっています。
 武蔵野台地の平坦な地形に恵まれ、緑豊かな住宅地と商業・情報・金融・文化などの高度な産業が調和した「生活核都市」として発展してきました。
 早くから市民参加型の事業が多く行われ、緑地の保全・創生も市民と共に行われてきました。
 そんな武蔵野の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。

  • まるで美術館
  • エコなリゾート
  • 身近な森林
  • 境山野緑地

美術館のようなおしゃれな建物を見つけました。よく見ると大きな煙突があるこの建物は、ごみ処理施設「武蔵野クリーンセンター」です。

Q1武蔵野クリーンセンターの取り組みとして間違っているものは?

  1. 1 生ごみたい肥を利用した菜園や、廃材を用いた草地を屋上に設けている
  2. 2 ごみ焼却による廃熱で作った電気を周辺公共施設に供給している
  3. 3 ガラス張りのごみ処理工場をいつでも見学できるようにしている
  4. 4 災害時に長期間ごみ処理を止められるよう備えている

正解4 災害時に長期間ごみ処理を止められるよう備えている

現在の武蔵野クリーンセンターは2017年に建てられてた二代目の施設です。市民参加での議論を反映し、「まちに溶け込み、まちにつながる武蔵野クリーンセンター」をコンセプトに、武蔵野の雑木林をイメージした温かな外観デザインとなっています。

ごみ処理の様子はガラス張りの見学者コースからいつでも見学可能で、地域に開かれた施設になっている点が評価され2017年にグッドデザイン賞を受賞しました。

屋上では生ごみたい肥を利用した菜園で野菜を育てたり、市内の公園や空き地の土とペットボトルキャップなどの廃材を用いた草地で生態系の観測を続けるほか、太陽光発電も行われています。

武蔵野市エネルギー地産地消プロジェクトの一環として、ごみ焼却による熱回収で生み出したエネルギーを周辺の公共施設にも供給しています。

災害に強い中圧ガス管から供給を受ける「ガス・コージェネレーション設備」を備え、災害時にもごみ処理と地域へのエネルギー供給を続けられる体制を整えています。

武蔵野クリーンセンター外観

「むさしのエコreゾート」にやって来ました。ここは旧武蔵野クリーンセンターの施設を再利用して作られた環境啓発施設のようです。

Q2令和4年にむさしのエコreゾートで行われた「武蔵野市気候市民会議」は何を目的としていた?

  1. 1 気候変動に対する市民の意見を政府に届けるため
  2. 2 気候変動に対する具体的な行動プランを作るため
  3. 3 気候変動について市内の高校生が討論するため
  4. 4 気候変動の適応策を提携都市と共に検討するため

正解2 気候変動に対する具体的な行動プランを作るため

気候市民会議とは、主に無作為抽出により選ばれた市民が気候変動対策について話し合う会議で、市民参加の手法として欧州で広まったものです。

武蔵野市では、自治体の主催としては初の気候市民会議を令和4年に開催し、無作為抽出と有志の応募者合わせて68人の市民が5回に渡る会議を行いました。

市が目指す「2050年ゼロカーボンシティ」に向けて市民一人ひとりが取るべき行動を討議し、その結果を踏まえて市が具体的な行動プランを作成することを目的としました。

会場となったむさしのエコreゾートは武蔵野クリーンセンターの旧施設をリノベーションして令和2年に作られた環境啓発施設で、連続講座「環境の学校」や「むさしの環境フェスタ」を始めとして、日頃から市民が環境について学び合える場となっています。

むさしのエコreゾート

「中央通り公園」で子供たちが遊んでいます。この公園の木製遊具には多摩地域の木材が使われており、森林を身近に感じられます。

Q3森林について市民の認識を深めるために開設された「二俣尾・武蔵野市民の森」での活動を通して整えられている仕組みは?

  1. 1 フォレスト・ガーディアン(森の番人・森を守る人)制度
  2. 2 フォレスト・アンバサダー(森の大使・森を広める人)制度
  3. 3 フォレスト・ワーデン(森の管理者・森を監督する人)制度
  4. 4 フォレスト・ウォッチャー(森の観察者・森を見守る人)制度

正解1 フォレスト・ガーディアン(森の番人・森を守る人)制度

人工林が60%を占める多摩地域の森林は、材木や水源の確保、災害の防止、大気保全などの面で都市住民の生活を支えています。

そんな森林を適切に手入れして保全するためには、住民が森林への認識を深めることが大切であるとし、森林保全と学習活用の場を兼ねた「二俣尾・武蔵野市民の森」が開設されました。

山林所有者・公益財団法人東京都農林水産振興財団・武蔵野市が協定を締結し、相互協力の元で森林の整備と体験などの催しが行われており、森林を守り育てるその仕組みを「フォレスト・ガーディアン(=森の番人・森を守る人)制度」と呼んでいます。

また、武蔵野市、奥多摩町、公益財団法人東京都農林水産振興財団による「森林整備協定」のもと、シカ食害等による被害を受けた「奥多摩・武蔵野の森」の回復事業も行われてきました。

多摩地域の木材で作られた中央通り公園の児童用木製複合遊具

武蔵野の雑木林を継承する「境山野緑地さかいさんやりょくち」にやって来ました。公園の南半分は国木田独歩の小説『武蔵野』の舞台と言われ、「独歩の森」の愛称で親しまれています。この場所には元々、青年のための宿泊研修施設である「都立武蔵野青年の家」がありました。

Q4平成17年、「武蔵野青年の家」の跡地に「境山野緑地」が開園されたが、そのきっかけとなった出来事は?

  1. 1 昆明・モントリオール生物多様性枠組の採択
  2. 2 京都議定書の発効
  3. 3 跡地の雑木林での火災
  4. 4 市民による署名活動

正解4 市民による署名活動

境山野緑地は、江戸時代に作られた武蔵野本来の雑木林を継承する貴重な場所です。

雑木林が隣接していた都立武蔵野青年の家の閉鎖が決まり、跡地の自然が守られることを望んだ住民たちによる署名が集まりました。

1万7千筆余の署名と共に市議会へ請願が提出され、武蔵野市が跡地を境山野緑地として整備することが決まりました。

開園と共にボランティア団体「武蔵野の森を育てる会」が設立され、豊かな生態系の雑木林を育てるための保全活動が続けられています。

境山野緑地

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。