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Tokyo62エコ散歩

東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

第5回 うるおいの街・港区に集う木と生き物

かれん

 港区にやって来ました。
 東京都の南東部に位置する港区は、北西一帯の高台地・南東の東京湾に面した低地・芝浦海浜の埋め立て地からなる起伏に富んだ土地です。
 都心にありながら、江戸時代の大名屋敷などに由来するまとまった緑と、東京湾・運河・古川・湧水などの水に恵まれています。
 活発なまちづくりの中で、脱炭素社会に向けた環境にやさしい取り組みが多く行われています。
 そんな港区の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。

  • 鳥のすみか
  • 木のぬくもり
  • 新しい街
  • 駅の秘密

港区の中央部を流れる古川で写真を撮る人を見かけました。新宿御苑を源流とするこの川では、色々な野鳥に出会えるようです。 

Q1港区のめざす自然環境のシンボルに選ばれた、「飛ぶ宝石」とも呼ばれる美しい色彩の鳥は?

  1. 1 カワウ
  2. 2 オオサギ
  3. 3 カワセミ
  4. 4 ハクセキレイ

正解3 カワセミ

カワセミはコバルトブルーの背中とオレンジの腹部が美しい野鳥です。令和元年の区民投票により、港区が目指す自然環境のシンボルとなる生きものに選ばれました。

エサである小魚・エビ・水生昆虫などが生息できる水辺と、隠れ処となる緑が一定量あれば、都心でもカワセミを呼ぶことができます。

港区内では古川、弁慶濠、旧芝離宮恩賜庭園、自然教育園、区立港南緑水公園の水辺等で見ることができ、この他にも様々な場所での目撃情報が区民から寄せられています。

古川は新宿御苑を源流とし、渋谷区内では渋谷川となる河川です。水質改善・親水テラスの設置等が進められ、カワセミ等が住みやすい水環境を目指した取り組みが続けられています。

カワセミ

JR浜松町駅北口から徒歩4分、旧神明小学校跡地にある環境学習施設「港区立エコプラザ」にやって来ました。この建物には「みなと区民の森」の間伐材がふんだんに使われているようです。

Q2みなと区民の森で行われてきた取り組みとして間違っているものは?

  1. 1 スギ・ヒノキなどの針葉樹の大規模な植林
  2. 2 動物・植物などの自然環境調査
  3. 3 間伐・枝打ち・下刈りなどの森林整備
  4. 4 環境学習施設の整備や自然体験ツアー

正解1 スギ、ヒノキなどの針葉樹の大規模な植林

港区は平成19年から東京都あきる野市の人工林を借り受け、「みなと区民の森づくり」事業として森林整備を始め、現在は約22ヘクタールの森を管理しています。

長く手付かずで荒廃していたスギ・ヒノキの人工林を間伐・枝打ち・下刈りによって整備し、間伐後はコナラやクヌギなどの広葉樹を植林しました。

整備により発生した間伐材はエコプラザを始めとする区内施設の内装や家具等に利用されました。整備後のみなと区民の森では自然環境調査や区民向けの環境学習が続けられています。

港区では他にも「みなと森と水ネットワーク会議」による国産木材の活用を促す活動が行われており、エコプラザの常設展示「大人の木育展示」では様々な木材製品や各協定自治体の角材を見ることができます。

間伐材を使用したエコプラザの内装

消費者センターやスポーツセンターなどを備える港区の施設「みなとパーク芝浦」にやって来ました。この施設のある田町駅東口北地区は環境にやさしい街のようです。

Q3「低炭素で災害に強いまちづくり」を掲げた田町駅東口北地区の再開発で構築された仕組みは?

  1. 1 ブルーバイオマスシステム
  2. 2 スマートエコシステム
  3. 3 バイオダイバーシティネットワーク
  4. 4 スマートエネルギーネットワーク

正解4 スマートエネルギーネットワーク

港区が策定した「田町駅東口北地区街づくりビジョン」に基づき、官民連携で街づくりが進められたこの地区では、都市再開発エリアでは日本初となるスマートエネルギーネットワークが構築されました。

みなとパーク芝浦に設置された地域熱供給施設「第一スマートエネルギーセンター」を中心に、エリア内の各施設を熱・電気・情報のネットワークで連携し、需給の制御により効率的にエネルギーを使用する仕組みです。

再生可能エネルギーの積極利用や、停電時にも対応できるコージェネレーションシステムの活用も行い、「低炭素で災害に強いまちづくり」を実現しています。

基準建物に対して街区全体で40%の省エネを達成したことも評価され、「田町駅東口北地区におけるスマートエネルギーネットワークによる省エネまちづくり」は平成28年度の省エネ大賞・省エネ事例部門で経済産業大臣賞を受賞しています。

みなとパーク芝浦

JR高輪ゲートウェイ駅に降り立ちました。2020年に開業したこの駅舎では、様々な環境への配慮がなされているようです。

Q4高輪ゲートウェイ駅は、令和4年度「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」表彰で最優秀賞を受賞したが、どのような取組が評価された?

  1. 1 福島県や宮城県の木材を駅舎に使用した
  2. 2 日射の熱反射率が高い膜材で屋根を作った
  3. 3 太陽光パネルや小型風力発電機を設置した
  4. 4 線路脇に緑化空間や壁面緑化パネルを整備した

正解1 福島県や宮城県の木材を駅舎に使用した

「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」は、協定木材または国産合法木材を使用して建てられた区内の建築物に対し、その使用量に対する二酸化炭素固定量を認証する制度です。

協定木材とは、港区と「間伐材を始めとした国産材の活用促進に関する協定」を結んだ自治体から産出された木材で、協定自治体は伐採後の再植林と間伐などの適切な森林整備を行う約束となっています。また、合法性が証明された国産合法木材も認証の対象です。

樹木は、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素として貯蔵しているため、これを木材として使用すると大気中のCO2を木材の中に固定し続ける状態となります。そして伐採後の森林整備を適切に行うことでさらなるCO2吸収が促進されていきます。

高輪ゲートウェイ駅では福島県古殿町・宮城県石巻市などの国産木材・協定木材が活用されており、CO2固定量は37.84 t-CO2として認証されています。このように、都市と地方が連携して地球温暖化防止をめざす画期的な取り組みとなっています。

高輪ゲートウェイ駅

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。