トップページ > Tokyo62エコ散歩 > 第6回 調布市
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。
調布市にやって来ました。
武蔵野台地の南部に位置する調布市は、多摩川によって形成された武蔵野段丘・立川段丘と沖積低地からなる土地です。
高低差の大きい面と面の境には「はけ」と呼ばれる国分寺崖線などの急な崖が続き、豊富な緑地や湧き水をもたらしています。
住宅地としての発展を続けながらも里山や河川の生態系に恵まれたこの街では、市民による環境保全活動も盛んにおこなわれています。
そんな調布市の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。
多摩川を始めとした調布市内の自然環境を学べる「調布市多摩川自然情報館」にやって来ました。魚や昆虫に触れ合える展示室と、自然環境に関する本が揃う学習室で勉強ができます。また、この施設では市内のあちこちで作ったエコな電気を使っているようです。
平成26年、調布市では市内34か所の公共施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電気の売電を始めました。再生可能エネルギーの普及・促進や停電対策のほか、売電収益の一部を環境施策等に活用することを目的とした事業で、多摩川自然情報館は太陽光発電設備が設置された施設の一つです。
ゼロカーボンシティ宣言を具現化する取組の一環として、公共施設の屋根貸しで発電した電力を多摩川自然情報館の使用電力として購入する「地産地消型の再生可能エネルギー100パーセント(RE100)電力調達」が令和4年に開始され、電気由来の二酸化炭素を排出しない施設になりました。
なお、多摩川自然情報館では、多摩川の魚や調布市内の昆虫を間近で見られるほか、様々な環境学習イベントも開催され、市内の生き物の写真を募集する「調布市いきものフォトコンテスト」の展示も行われています。
調布駅周辺を歩いていると調布市役所が見えてきました。市役所では、ペットボトルなどのプラスチックごみが海に流れてしまうことを防ぐため、プラスチックごみを減らす対策を行っているようです。
世界的に深刻な環境問題である海洋プラスチックごみ問題に対し、調布市では市庁舎の「ごみ排出量削減・リサイクルの推進」を掲げて取組を実践してきました。
新たな形の取組として令和2年より「CHOFUプラスチック・スマートアクション」が立ち上げられ、市職員の率先行動や市民・事業者との協働を通した対策が推進されています。
市による率先行動の一つとして、調布市役所の本庁舎内の自動販売機ではペットボトル飲料の販売が廃止されました。
また、市の主催イベントでワンウェイ(使い捨て)プラスチックの使用を控える取り組みや、海洋プラスチックごみ問題についてのパンフレットの発行、多摩川でのごみ拾いなどの様々な活動が行われています。
調布市の中北部にある深大寺・佐須地域にやって来ました。この地域では昔ながらの里山の風景が守られており、水路周辺には田畑が広がっています。都市部にある農地には、環境保護や防災に役立つ様々な役割も備わっています。
国分寺崖線を挟む武蔵野段丘と立川段丘に位置する深大寺・佐須地域は、緑豊かな崖線と崖線由来の湧き水を水源とする水路、水路に沿って広がる田畑が一体となった里山の風景が残る貴重な場所です。
地域内には谷戸環境の維持される都立農業高校神代農場、野草園やカニ山キャンプ場を楽しめる深大寺自然広場などもあり、調布市の地域資源として守られています。地域の一部は都の「農の風景育成地区」に指定され、農地の保全と活用が行われています。
この地域の農地のように、都市部にある都市農地は人々に農産物や憩いの風景をもたらすだけでなく、様々な生き物が集まることで生物多様性を保全し、火災時の延焼を防止する空間や地震発生時の避難場所にもなります。
深大寺・佐須地域では調布市が公有化した田んぼでの田植え体験等、環境教育の場所としても活用されています。未来へ受け継がれる里山を守るため、ポイ捨てやペットの糞の置き去りは厳禁です。
多摩川の河川敷にやって来ました。多様な植物、昆虫、鳥、魚が暮らすこの場所ですが、生態系を守るために市民の協力も欠かせないようです。他の植物を枯らして荒れ地してしまうような繁殖力を持つ、やっかいな外来植物を駆除することも大切な活動です。
調布市では平成23年度に生物多様性調査が行われ、市内で植物621種、鳥類41種、昆虫419種、魚類26種が確認されました。中には絶滅の恐れのある「注目すべき種」も含まれ、植物ではウキヤガラ、カワラサイコ、カワヂシャなど15種が確認されています。
一方、生態系に被害を及ぼす特定外来生物に指定されたアレチウリ、オオフサモ、オオカワヂシャ、オオキンケイギクといった植物も確認されました。在来植物の生育環境を取り戻し、多摩川の生物多様性を守るため、これらの外来種は除去する必要があります。
市と一般社団法人生物多様性保全協会の共催のもと、市民・企業の参加により、アレチウリを始めとする外来種を駆除する活動が続けられてきました。
また、市と市民の協働グループである「調布市環境モニター」が定点観察による植生調査を行うなど、市民の協力による生物多様性の保全が推進されています。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
オール東京62市区町村共同事業 Copyright(C)2007 公益財団法人特別区協議会( 03-5210-9068 ) All Right Reserved.