トップページ > Tokyo62エコ散歩 > 第7回 江東区
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。
江東区にやって来ました。
東京都の東南端に位置する江東区は、南が東京湾に面しており、西に隅田川、東に荒川が流れ、多くの河川や運河が縦横に巡る「水彩都市」です。
古くは海面と散在する小島のみがある区域でしたが、江戸時代からの埋立てにより市街地として発展していきました
現在は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーを継承しながら、豊かな水と緑に親しめるまちづくりが行われています。
そんな江東区の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。
住宅地を歩いていると堅川第一公園に着きました。園内にある小さなビオトープは「ポケットエコスペース」という名称で親しまれ、江東区内の色々な場所にあるそうです。ポケットエコスペースには色々な生き物が暮らしています。
ビオトープは、生物が互いにつながりを持ちながら生息・生育している空間を意味する言葉です。近年では主に、人工的に造成した水辺や草地に、生き物たちが生息・生育する空間を指します。
江東区では河川敷や公園・学校の一角にビオトープを整備しており、個々の規模が小さいことから「ポケットエコスペース」(PES)と呼んで親しんでいます。
ポケットエコスペースは、野鳥や昆虫などの生息空間を拡大させ、より豊かな生態系を保全する目的で整備されています。また、身近な自然環境に触れて自然学習を行える場としても活用されています。
この場所に息づいた固有の生態系を守るためには、人の手による環境管理が欠かせません。ボランティア団体により、池の水の管理や外来種の調査・駆除などが行われています。
広さ約14万5千m2の都立猿江恩賜公園から0.7km歩いて、こども向け複合施設「江東区こどもプラザ」にやってきました。2022年5月に開設した施設の1階の地域交流スペースには、屋上にある太陽光発電設備の発電量を確認できるモニターがあり、身近に再生可能エネルギーの“見える化”がなされています。建物の素材にも環境に優しい工夫があるようです。
森林には、二酸化炭素の吸収や土砂物流出の防止、生物育成など多くの働きがあり、それを維持するためには、木を循環的に利用することが大切です。江東区では、「江東区公共建築物等における木材利用推進方針」を制定し、公共建築物の新築・改築時には、床面積1m2あたり原則0.008m3以上の木材利用を推進しています。
「江東区公共建築物等における木材利用推進方針」は、平成26年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(令和3年10月1日「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に改題)の趣旨に基づいて策定されました。木材利用の意義と効果として、森林の機能維持や環境負荷の軽減だけでなく、木材産業の活性化や快適な公共空間の創出、区民が木と触れ合うことによる木材利用への理解の醸成や、民間事業者等への波及効果などが挙げられています。
木材を利用した公共建築物の一つである「江東区こどもプラザ」は、住吉子ども家庭支援センター・こどもプラザ図書館・地域交流スペース・多目的スペースなどを備えた、区内初の「こども向け複合施設」です。こどものための様々なイベントも行われており、今まで開催された中には、故障したおもちゃを修理して蘇らせる「おもちゃの病院」や、こどもプラザ周辺のごみ拾い活動など、エコにつながるイベントもあります。
横十間川と仙台堀川の交わる場所に小さな島を見つけました。ここは「野鳥の島」といい、様々な野鳥を観察できます。
野鳥の島は横十間川親水公園と仙台堀川親水公園の交差する地点に浮かぶ小さな島です。木々が生い茂るこの島では、アオサギ・コサギ・ゴイサギ・カワウ・カルガモなど大小様々な野鳥を見られます。
木の上にはサギたちの巣が多くあり、繁殖期には子育ての様子を観察することができます。このようにサギ類が集団で営巣・繁殖する場所をコロニーといいます。
水辺に恵まれた江東区では区内の水鳥生息調査が毎年行われており、令和4年度の調査ではカワウが最も多く観察されました。
「区民の水辺」をテーマに整備された横十間川親水公園では、他にも貸しボートや水上アスレチックを楽しむことが出来ます。伝統技術である和船操船を体感できる乗船・櫓漕ぎ体験も実施されており、様々な角度から水に親しめる公園です。
潮見駅から徒歩12分、環境学習情報館の「えこっくる江東」にやって来ました。常設展示室を見て回ると、ごみ戦争について学べる展示がありました。
昭和30年代以降、高度経済成長に伴い東京都内のごみは急増しましたが、清掃工場の建設は進まずにいました。焼却しきれなくなったごみは江東区の埋立処分場に集中し、深刻な公害被害をもたらしていました。
都知事が「ごみ戦争」を宣言して事態収拾を図る中、江東区は都と他区に自区内処理の原則(ごみが発生した自治体で処理を行うこと)・迷惑負担公平の原則(ごみ処理によって住民が受ける迷惑を公平に負担すること)を求め、東京のごみ問題解決を方向づけました。
その後、埋立処分場であった夢の島には芝生や樹木が植えられ、緑豊かな夢の島公園として整備されました。公園内には清掃工場の余熱を利用した夢の島熱帯植物館も開設され、様々な植物に親しめる場所となりました。
えこっくる江東の常設展示室ではごみ戦争の歴史を学べるほか、環境負荷について考える江戸の暮らしを写したジオラマなども展示されています。企画展示やイベントも盛んに行われ、江東区ならではの環境学習の拠点となっています。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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