トップページ > Tokyo62エコ散歩 > 第12回 羽村市
東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。
羽村市にやってきました。
都心部から西に約45km、武蔵野台地の一角、多摩川の河岸段丘上に位置する羽村市は、市の西から南へ多摩川が流れ、江戸時代に開削された玉川上水の取入口のある街として知られています。
市の前身である西多摩村時代は養蚕業が盛んでしたが、高度経済成長期以後、自動車工場などの進出に伴って市街地が整備され、人口も急増。工業都市と住宅都市が調和した職住近接の街に生まれ変わりました。
市内には多摩川周辺の自然や武蔵野の面影を残す雑木林などの緑が多く存在し、現在は、人と自然、都市機能の調和した美しいまちづくりを進めています。
そんな羽村市の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。
羽村市を代表する自動車工場の横を通り抜け、動物園にも目を引かれつつ、隣にあるS&Dスイミングプラザ羽村にやってきました。
羽村市では、日野自動車株式会社の羽村工場から出た廃熱を、近隣のS&Dスイミングプラザ羽村の温水プールの熱源に利用する取組を令和元(2019)年から行っています。
この取組は、工場から出た廃熱を蓄熱材に蓄えてトレーラーで運んで活用する「オフライン熱輸送型」で行われており、パイプラインなどの設備を必要とせず、これまで利用が難しかった工場から排出される約100℃の熱を有効活用できる方式として注目されています。
羽村駅から多摩川を目指して進んでいくと、市内唯一の水田地帯、「根がらみ前水田」(ねがらみまえすいでん)に着きました。ここは、休耕期には一面チューリップ畑へと姿を変えます。
「根がらみ前水田」は、休耕期の春には、約59,000m2(東京ドームの1.26個分)の土地に、約35万球のチューリップが咲き誇る関東屈指のチューリップ畑となります。
初夏から秋にかけては、米作りが行われ、1年を通して、地域の子どもたちや、農家、チューリップオーナー、ボランティアなど、多くの人々の学びと交流の場になっています。
水田の一部では、夏になると様々な水生・水辺の植物が花を咲かせています。なかには、古代の蓮の実から発芽・開花した株を分けてもらった貴重な大賀ハスや、準絶滅危惧種のアサザといった珍しい花などを見ることができます。
さらに多摩川沿いに歩いていくと、羽村市の浄水場に着きました。地下水源を利用した羽村市の水道水は、おいしいと評判です。
羽村市の水道水は、多摩川沿いの3ヶ所の井戸(深さ7~10m)から汲み上げる豊富な地下水を利用しています。
その水質は、自然ろ過されているため、濁りが少なく非常に良質で、原水の処理には多くの塩素を必要としないため、味を損なうことがなく、さらに2004(平成16)年に完成した膜ろ過施設で、塩素では除去しにくい原虫類を完全除去しています。
安全でおいしい羽村の水道水は、商品化され、ペットボトルに詰めて販売されるほどでした。(現在は販売終了)
多摩川から玉川上水の取水口を横目に眺めつつ歩いていると、羽村橋にたどり着きました。橋の脇には、樹齢400年とも600年ともいわれる「羽村橋のケヤキ」があり、ひときわ大きな存在感を放っています。
羽村市では、市内の地歴史のある樹木を「保存樹木」として指定し、所有者に保全と適正な維持管理に努めるよう求めています。
市では、この「保存樹木」に、東京都の天然記念物に指定されている「羽村橋のケヤキ」と「阿蘇神社のシイ(スダジイ)」といった歴史的価値の高い樹木を加えて、「歴史ある樹木」として保存対象としています。
2024(令和6)年現在、残っているのは24本で、市では10年後まで現状維持を目指しています。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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