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Tokyo62エコ散歩

東京には、人口密度の高い都心部から緑豊かな町村部、本土から海を隔てた島しょ部など異なる環境にある62の区市町村(23区、26市、5町、8村)があります。そんな東京62市区町村の各地域を実際に巡って(散歩して)、地域ごとの環境への取り組みを知り、感じるためのヒントとなるスポットをクイズ形式で紹介します。

第18回 環境に関心を持ち行動する人を育て受け継いだ自然環境を次の世代につなぐまち・日野市

かれん

 日野市にやってきました。
 都心から西に35キロメートル、東京都のほぼ中心部に位置し、新宿から日野市には、JRの場合中央線の日野駅まで特別快速で29分、京王線の場合高幡不動駅まで特急で30分です。モノレールも開通しています。
 地形としては、大きく丘陵地、台地、低地の3段からなっています。また、北部を多摩川、市の中央部を浅川が流れており、多様性に富んでいます。
 かつては農業中心の宿場町で「多摩の米蔵」といわれていましたが、昭和の初めからは大企業の誘致により工業都市の顔ももっています。
 そんな日野市の街で「エコ」を探して散歩してみましょう。

  • 向島用水親水路
  • 資源を有効利用する建物
  • 豊富な湧き水
  • 蚕の研究拠点

高幡不動駅から北に少し歩くと、小さな小川が見えてきました。さらに川沿いを進んでいくと、水車や東屋があり、タイムスリップしたような光景に出くわしました。「向島用水親水路(むこうじまようすいしんすいみち)」と記された看板や表示があります。木の橋の上では、水面に網を差し込んで、ごみを拾っている人たちがいました。

Q1日野市には用水路が網の目のように張り巡らされていますが、きれいな水環境を維持するために生まれた「日野市用水守制度」によって支援している内容とは?

  1. 1 清掃ポイントをためて、景品と交換できる
  2. 2 ボランティア保険の加入
  3. 3 農業後継者の斡旋
  4. 4 シルバー人材の活用

正解2 ボランティア保険の加入

日野市では、水辺の清掃・保全・緑化等を行うボランティアを支えようと生まれたのが「日野市用水守制度」です。
 この制度は、日ごろ活動する範囲を決め、あらかじめ「用水守」として登録することで、万一、活動中にケガをしたり、また、他人にケガをさせてしまったりした場合に備え、市がボランティア保険をかけるというものです。
 市民と市行政が参加する仕組みが都市化の進む郊外地域の水辺再生モデルとして、高く評価され、きれいな水環境づくりに貢献した個人、団体を顕彰する日本水大賞奨励賞(第10回)に選ばれています。
 向島用水親水路の流れは、潤徳小学校の敷地に引き入れてビオトープを作り、子どもたちの学びの場となっています。

向島用水親水路脇の水車
向島用水親水路脇の水車

用水路を清掃する市民
用水路を清掃する市民(写真は向島用水親水路の清掃ではないのでご留意ください)

豊田駅から北東に住宅街を歩いていくと、木のルーバーが目印の建物が見えてきました。日野市立カワセミハウスと書かれた大きな丸い看板が掲げられた建物の前には芝生広場が広がっていて、小さなお子さん連れの親子がのんびりと過ごしていました。建物裏の土手下にはビオトープもつくられていて、子どもたちが集まっています。館内では、環境情報の発信や講座、セミナーを開催しているようです。

Q2日野市立カワセミハウスは環境に配慮して建てられた建物ですが、その特徴として正しいのはどれ?

  1. 1 湧き水を利用したウォーターサーバー
  2. 2 雨水の再利用
  3. 3 雷が建物に落ちた場合、電気として蓄えられる
  4. 4 間伐材や端材を燃料にするストーブ

正解4 間伐材や端材を燃料にするストーブ

カワセミハウスには、間伐材や端材を燃料にした「ペレットストーブ」が設置されています。
 燃料となる木質ペレットは、含水量が少なく、圧縮されているので、チップやのこ屑をそのまま燃やすよりも大きな発熱量が得られます。間伐材などを利用することで、森の再生を助けることもできます。
 ペレットを燃やすときに出る二酸化炭素は、その樹木が成長するときに吸収した二酸化炭素だけなので、化石燃料のように大気中の二酸化炭素を増加させることはありません。
 また、建物には多摩産材を使用し、「ウッドデザイン賞2017」を受賞しています。

日野市立カワセミハウス
日野市立カワセミハウス

環境に配慮しながら室内を温めるペレットストーブ
環境に配慮しながら室内を温めるペレットストーブ

カワセミハウスを出ると、雑木林の斜面地の中に湧水が流れる黒川清流公園がありました。木々が生い茂った公園の中は、ひんやりと涼しさを感じさせてくれます。透明度の高い水がさらさらと流れています。

Q3水がきれいであることから、公園付近でかつて栽培されていたものとは?

  1. 1 水菜
  2. 2 大葉
  3. 3 レタス
  4. 4 わさび

正解4 わさび

黒川清流公園は、東京の名湧水57選に選定されるほど、日野市を代表する湧水群です。
 一年を通じて豊富な湧水量を誇り、親水公園として市民に親しまれています。
 「わきみず池」や「親水広場」、「清流広場」、「大池」、「ひょうたん池」など、さまざまに水に親しむ工夫が施され、夏には水遊びする子どもが見受けられます。
 かつては「黒川湧水を生かす会」が、「黒川湧水わさび園」を管理していたといわれています。

誰でも水に親しめる黒川清流公園
誰でも水に親しめる黒川清流公園

日野駅にやってきました。東に10分ほど歩くと、自然いっぱいの仲田の森蚕糸公園にたどり着きました。雑木林の中に小川が流れる公園内では、木にロープをかけて木登りしたり、小川で水遊びをしたりする子どもたちの姿が見えます。
 この公園は、養蚕に関する国の研究機関であった、旧農林省蚕糸試験場日野桑園の建物群の跡地にできたそうです。

Q4蚕糸試験場として機能していた当時の建築物で現在も残されているものとは?

  1. 1 宿舎
  2. 2 蚕室
  3. 3 実験室
  4. 4 蔵

正解2 蚕室

旧農林省蚕糸試験場日野桑園では、桑の苗木育成と品種改良に関する研究や、蚕の優良品種の育成と普及のための研究が行われていました。
 現存している第一蚕室(通称:桑ハウス)は、平成29年(2017)に「旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室」として日野市初の国の登録有形文化財(建造物)に登録され、令和元年~2年(2019~20)にかけて保存修理工事が行われました。
 現在は、第一蚕室の活用方法を検討する中で、桑ハウスお掃除会や音楽会などのイベントが定期的に開催されています。
 また、仲田の森蚕糸公園では、園内の樹木に設置した番号札と、復元図「日野桑園跡地めぐり」を見比べて歩くことで、当時の景観を想像することができます。
 毎週金曜日と毎月第2・第3土曜日にはNPOによるプレーパークも開催されていて、子も親も安心できる居場所づくりの活動が続けられています。

旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室
旧農林省蚕糸試験場日野桑園第一蚕室

本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。