トップページ > エコアカデミー一覧 > 第1回 自然とよりそい、緑がつなぐ都市再生
―日本独特の自然とよりそうという発想を、これからの都市づくりにどのように活かしていけばよいのでしょうか―
僕が震災直後に日本全国にメッセージしたのは、これを期に分節自律型の国土構造を考えるべきだっていうふうに、主張しました。「大きいことは良いことだ」という考えを捨てようと、環境容量に則した、分節して自律できるヒエラルキーに富んだ国土構造を見直すべきだってね。
これからの都市は、リンゴとかカボチャから、ブドウのようなクラスター型の都市構造に転換していくのが望ましい、クラスター型のしかもコンパクトな地域をこしらえて、環境容量に則して、エネルギーも物質もできるだけ自律(注4)できる都市づくりです。
クラスター型を考えるときにとても大切なことは、ネットワークです。
そのネットワークは、エネルギー、物流、情報とそしてエコロジカル、この4つの要素がネットワークを強化するもので、これらが有機的に機能するのが、望ましいんじゃないかな。
その時に、思い起こさなきゃいけないのがね、ヒューマンスケールの都市を作るってことの大切さです。自動車文明を主導してきたアメリカでは、都市において住民どうしのコミュニティーが崩壊するという状況があります。その一番大きな原因が、過度な自動車文明によりコミュニティーが崩壊してしまったという事実につきあたります。
ニューアーバニズム(注5)の、アワニー宣言(注6)にも明確にあらわれていますが、生態学的な特性の上にできるかがり自動車文明を排して、ヒューマンスケールの都市を作ることによって、改めてコミュニティーの再生を図り、よりよいアメリカのアーバンシティーをつくるべきだという宣言しています。
そして、これは、まさに江戸に学べる一つのモデルなんですよ。
―都市の在り方を考える上で、江戸に学べるモデルとは、どのようなものがあるのでしょうか―
都市の在り方を考える上で、振り返らなければならないのは、祭です。
江戸になんであれだけの祭りがあるのかというと、祭りというのは、平時における防災訓練だったんですよ。楽しみながら9月1日の防災の日を過ごしているようなものかな。
江戸のご祭神は、それぞれ、自然の怖さを代表しているご祭神です。神田明神は平将門、水天宮は、洪水や津波、それぞれのご祭神にそれぞれの祭りの形式があります。
日常生活をしていると、どうしても日々の暮らしに追われて、10年前の地震や大火を忘れてしまう。江戸はしょっちゅう大火など災害と向き合わなければならない土地だから、どうしても、防災訓練が必要だったのではないでしょうか。
そういうハッサージで一番大きな問題としては、重量物をどうやって動かし、大量の人間をどうやって、さばいていくかがすごく大事なわけですよ。
誰が、どのような機能をもって、どうゆうふうに役割分担するかということ、これは、実は祭りはすべてこれを充足します。だから江戸のまつりの主役は火消しだったりするんですよ。
防災組織がそういうものに相当しています。すなわち、もう一度、コミュニティーの再生を図るっていうのは、単に考えるのではなく、もう一回地域ごとに、地域特性にあった、イベントをね、地域共同ができるイベントを重視して、日常の暮らしの中に、そういう設えを作り出し行くかをソフトパワーとして考えていくべきだと思います。
そういう意味で、当時世界で一番の大都市であった江戸の暮らしの中に非常に大きなヒントが隠されている。そこをもう一回発掘して考えていく必要があるのではないか、というのが僕の主張です。
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