トップページ > エコアカデミー一覧 > 第2回 冬の節電ポイントとCO2削減支援の担い手「地域カーボン・カウンセラー」
-節電のノウハウなどは、自治体や企業のホームページなどでも紹介されているとのことですが、現場になかなか情報が届かない、反対に情報にたどりつけないという現状があると思います。しかし、その一方で、冬の節電は、大企業だけでなく、中小企業や家庭など裾野を広げて、ひとり1人の意識と行動に頼らざるを得ないという課題がありますね―
そうですね、やはりひとり1人が、こまめに自分でやるという意識が大切です。
そのような経緯もあり、身近な分野で省エネやCO2削減の指導やアドバイスを行える担い手育成として、現在、地域カーボン・カウンセラー養成事業(注3)を全国で展開しています。
この背景に、現在、我が国には、あらゆる分野で節電をはじめ省エネなど地球温暖化対策に取り組まなければならないという課題があります。大企業だけでなく、中小企業や、農業、サービス分野、また、家庭など、「身近な生活分野」でのCO2削減をより一層進める必要があるにもかかわらず、CO2削減の指導やアドバイスを行える人材は、エネルギー管理士などの国家資格保有者、政府の認定した審査機関など高度な知識を持つプロに限られており、全国的に不足していました。
地域カーボン・カウンセラー養成事業では、内閣府地域社会雇用創造事業(注4)の一環として、地球環境問題に関心があり、CO2削減という現場に関わっていきたいという意欲のある方を対象に、無料の講座を実施しています。
プロジェクトがスタートしてから1年が経過し、全国20か所で実施した講座の修了生は、700人近くになっています。50、60歳代が、受講生の半分以上を占め、その多くが現役時代の仕事で培った専門知識を生かして、社会貢献していきたいという、強いご希望をもっていらっしゃいます。
また、九州の方などは、将来的に環境ビジネスを立ち上げ、さらには、韓国や中国や東南アジアにむけて、環境ビジネスを展開していくなど、グローバルな視点をもって、受講されていた方が非常に多く、とても印象的でした。
講座では、座学だけではなく、自治体や企業の協力のもと、現場研修も行っています。例えば、環境モデル都市である千代田区の、太陽光発電の装置を見学したり、協力企業の工場に行きボイラー施設などを見学したりしています。また、CO2吸収原となる森林を見るため、実際に山間部の植林地まで足を運んだりしています。
このプロジェクトは、平成22年、23年度の2年間の期間限定プロジェクトですが、修了生が、講座を通じて培った知識やスキルを生かし、地域密着型で、小回りの利いた活動を展開していくことに、大きな期待があります。
また、来年、国の新たなCO2削減担い手育成プロジェクトして、「カーボン・マネージャー制度」(注5)がスタートします。スキル別にレベル認定のある制度なので、地域カーボン・カウンセラー講座の修了生も是非、この認定制度にチャレンジして、活躍の場を広げていってもらいたいと思います。
冬の節電は、大企業をはじめ、中小企業や家庭など、節電努力が不可欠です。身近にできて効果的な節電対策の現場で、地域カーボン・カウンセラーが活躍していければと思います。
―インタビューを終えて―
田村先生は、もともとは建設コンサルタントの技術者として、貯水池やダムの建設に関わってこられました。土木の分野では、100年に一度の大雨に備えるというのが常識。しかし、記録的な豪雨が発生する頻度が高くなり、「地球温暖化による気候変動」という現象に関心をもつようになったそうです。地球温暖化防止対策やCO2排出削減が重要であると知り、当時は先駆的なエネルギー系ベンチャー企業に転職したものの、CO2排出削減に関わる人材の不足を実感し、自ら人材育成事業を立ち上げる決心をされたそうです。
「地域カーボン・カウンセラー養成事業」を通じて培ったノウハウを、近い将来、中国や東南アジアなどの新興国で展開させ、多くの人々にCO2排出削減を身近な活動として、広めていきたい。今後のプランを熱く語る田村先生、女性ならではのきめ細やかさと、エンジニアとしての計画性がバランスよく融合し、CO2排出削減事業に新たな展開の期待を感じることができました。
インタビュアー 峯岸律子(みねぎしりつこ)
環境コミュニケーション・プランナー。エコをテーマに、人と人、人と技術を繋げるサポートを実践。
技術士(建設部門、日本技術士会倫理委員会)、環境カウンセラー、千葉大学園芸学部非常勤講師。
本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。
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