トップページ > エコアカデミー一覧 > 第5回 ECO女子のチャレンジ~エコキャンパス・プロジェクト~
フェリス女学院大学では、女子学生の視点から展開してきたエコキャンパスを地域に開放し、地域と協働しながら地球温暖化対策と自然エネルギーの普及に向けた活動に取り組み、第1回エコ大学ランキング(2009年)において第1位を獲得しました。また、地球温暖化による海面上昇の影響が懸念されるキリバス共和国での国際協力活動を継続的に実施しています。学生の視点、女性の視点から見る環境保全活動の意義、大学と地域の連携についてお話を伺います。
佐藤輝(さとうあきら)
フェリス女学院大学 国際交流学部 准教授
http://www.ferris.ac.jp/departments/sections/international-exchange/teachers/int_24.html
東京農工大学 連合農学研究科博士課程修了、農学博士。1971年、東京都生まれ。
通商産業省生命工学工業技術研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、メルシャン株式会社生物資源研究所、独立行政法人製品評価技術基盤機構研究員を経て、フェリス女学院大学国際交流学部 准教授(現職)。専門分野:再生可能エネルギーの普及対策、環境教育。
横浜市環境活動推進委員会委員、横浜市環境創造審議会・生物多様性地域戦略検討部会専門委員、私立大学連盟・地球温暖化対策プロジェクト委員などを歴任し、現在は日本環境学会副編集長、私立大学環境保全協議会理事などを務める。
-フェリス女学院大学では、環境教育に力を入れ、地域と協働しながら、温暖化対策や自然エネルギーの普及にむけた活動をなさっていますね。その活動が評価され、2009年第1回エコ大学ランキング(注1)において、1位を獲得していますね-
エコ大学ランキングは、全国の大学において地球温暖化対策を推進する目的で実施されています。二酸化炭素排出状況、地球温暖化対策、環境教育支援、地域連携などの調査があり、ポイントの高い大学が表彰されるというものです。年度によって審査基準や点数の重みづけの項目が異なるので、2009年は私立大学部門で1位、2010年はちょっと落ちて13位ですが、2011年は4位を獲得することができました。
本学は、文学部、国際交流学部、音楽学部の3学部からなる文化系の大学です。また女子大学というイメージから、環境保全やエコキャンパスの試みに力を入れるのは、意外と思われることがあります。もちろん、環境教育は、男性も女性も理系も文系も関係なく取り組むべき課題ですが、やはり女性は、体内に赤ちゃんを宿し、産み、育む特性を持っています。自らのライフスタイルを考え、家族の健康を守るなど、実生活との関連を考えながら、環境問題を幅広く学ぶことは、女性にとって重要なことであると考えています。
例えば、魚類の海の水銀汚染は、地球温暖化の原因にもなっている「電気をつくること」に一因があり、火力発電の際に、石炭に含まれる微量の水銀が燃焼により、大気中に放出され、それが雨で海へ流出し、プランクトンから小魚、小魚から大型魚へと、食物連鎖を通じて濃縮されていきます。近年キンメダイ、メカジキをはじめ、大きな魚から、高濃度の水銀が検出されています。水銀は妊娠している女性が食べた場合、胎児の神経系の発達に対して危険をおよぼす可能性があると言われ、欧米では、妊娠中や授乳中の女性は、摂取を控えるようにとの注意喚起がされていました。日本でも厚生労働省が2005年に注意喚起をおこなっています(注2)。
実は、学生にこの魚の水銀汚染を知っているかと質問してみると、知らない学生が多かったのです。将来、赤ちゃんを産み、育む存在である女性にとって、直接影響がある問題として、理解を深めるべき課題であり、このような環境汚染の問題について、大学として学ぶ機会をつくる必要性が高いと受け止め、環境教育を充実化させるようになりました。
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