トップページ > エコアカデミー一覧 > 第3回 電気の未来~スマートグリッドがつくる新しい地域・社会システム
もともと、送電線(鉄塔)と配電線(電柱)の一部には、電力会社が保安用に通信網を整備しています。これは落雷などの送電線の事故をリアルタイムで検出し、対処するためで、これもスマートグリッドの一機能です。しかし、各家庭までは、電力情報をやりとりする通信網が接続されていないのが現状です。
各家庭の電力使用に関わる情報をリアルタイムに検出するには、スマートメーターという計測器の設置が必要です。東京電力管内では、去年から多摩地区で、数千世帯を対象にスマート通信を入れ、ちゃんと通信ができるか、不便はないかなどのパイロット的な事業を行っています。先駆的な取り組みでは、関西電力管内で61万件に設置しています(平成22 年11月末時点の導入件数)(注4)。
これまでの計画では、2020年代までに各家庭にスマートメーターを設置する方針でしたが、 東日本大震災以降に、10年以内に設置する方針に変わり、今後、設置が加速すると予想されます。
スマートグリッド概念図(画像クリックで拡大 78KB)
(出典:「次世代エネルギーシステムに係る国際標準化に向けて(次世代エネルギーシステムに係る国際標準化に関する研究会)2010年1月」より(注5))
しかし、すべての家庭にスマートメーターを設置するには、非常にお金がかかります。 また、電気の使い方によって、その人がどういう生活時間帯で暮らしているか、その情報を第三者に送ることになるため、情報の扱いは慎重にしなければならなりません。 当然日本で普及させる場合には、プライバシーの保護を事業者や法律で担保させたうえで、普及させなければなりません。
スマートグリッドにより実現が期待されているサービスメニューとしてデマンドレスポンスというものがあります。電気の使い方に応じて多様な電気料金体系を提供するものです。アメリカの例ですが連邦政府と州政府で、デマンドレスポンスを促進しようと各家庭にスマートメーターの導入を進めましたが、州政府も電力会社も事前に市民に説明することなく、勝手にメーターを取り換えてしまい、さらにその設置費用などを、余分に電気料金として請求したため、住民の猛反発をかってしまったということがありました。
導入を進める前に、スマートグリッドへの理解を深めてもらい、利便性や負担、リスクについてきちんと説明し、同意を得ることが、もっとも大切な第一歩であると思います。
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