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第4回カーボン・オフセットでつなぐ都市と森林

エコアカデミーインタビュー2.自治体がカーボン・オフセットに取り組む意義とは

-オール東京62市区町村共同事業では、カーボン・オフセット・クレジットを一括購入し、会議・イベントに伴うCO2削減に寄与するとともに、各自治体がカーボン・オフセットの流れや仕組みに対する理解を深め実践力を高める取り組みを進めています。今後、オフセット・プロバイダーを利用する場面も増えてくると思われますが、一方で、オフセット・クレジットを扱う業者が少ないという現状がありますね。-

自治体とオフセット・プロバイダーが率先することで、住民や事業者などのカーボン・オフセットの取り組みを促進していきたいところですが、確かに、カーボン・オフセットの市場や扱う業者が少ないというのが現状です。

仕組みをどうするか、市場をどう開拓するか、主体間との関わりをどうするかなどは、私たちオフセット・プロバイダーの立場から提案するだけでなく、試行的なプロセスの中で進めていけるように、自治体をはじめさまざまな主体を巻き込んで、実現につなげていければと考えています。

写真:飯田泰介氏

まずは、カーボン・オフセットを、民間企業をはじめ、住民の方々に、広く知っていただく必要があります。私たちは、これまで住民の方々を対象に、カーボン・オフセットの普及イベントを続けてきました。NGO、NPOなどの活動を通じて、地球温暖化防止に対する意識が高い方が多数いらっしゃいますが、その一方で、参加された方の約半数が「カーボン・オフセットって何?」というような状況です。

住民の方々の理解を広めるためには、地域行政のリーダーシップをもつ自治体が率先して、カーボン・オフセットに取り組む姿勢をPRしていく必要があります。例えば、「昼休み庁舎の照明を消していますが、それでも排出してしまう部分を、こういうことをやって埋め合わせしています。それが、カーボン・オフセットなんですよ」など、カーボン・オフセットという言葉を、身近にするようなPR活動を実践するのも効果的だと思います。自治体の予算は住民の為のお金ですから、シードマネー(注4)と割りきって、住民の方々の意識の啓発を底上げしていくことが大切だと思います。

―確かに、意識の啓発という意味では、自治体の役割は重要ですね。地球温暖化問題が議論されはじめた90年代初頭は、「地球温暖化」や「排出削減」などの言葉は、世間にそれほど浸透していませんでしたね。政府や自治体による啓発により、今では、すっかり定着しましたね。同様に、カーボン・オフセットについても、例えば、小学校から企業までに働きかける、というような地道な取り組みが必要ということですね。―

地球温暖化については、20年を要して定着しましたが、カーボン・オフセットは、それほど時間がかからないと思います。時間をかけて精査されてきた温暖化防止を、実践するのがカーボン・オフセットであり、仕組みとして運用していくので、社会に定着するのは早いと思います。しかし、その一方で、カーボン・オフセットは新しい取り組みであるため事例が少なく、自治体側として、先例がないプロジェクトに取り組むには、かなり勇気がいるのではないでしょうか。

そういった意味でも、オール東京62市区町村共同事業として事例を積んでいき、自治体の方々に、「やってみませんか」と、働きかけていくことは大切だと思います。

図:自治体がカーボン・オフセットに取り組む意義および効果

自治体がカーボン・オフセットに取り組む意義および効果
 (出典:「自治体向けカーボン・オフセットガイドブック(概要版)9頁」より)

注釈

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本事業は、公益財団法人 東京都区市町村振興協会からの助成で実施しております。