トップページ > エコアカデミー一覧 > 第4回 カーボン・オフセットでつなぐ都市と森林
―自治体からの声として、カーボン・オフセットを介して、東日本大震災で被災された地域をはじめ、東北地域の復興支援に寄与したい、という声もあります。カーボン・オフセットを介した自治体間の連携には、どのようなアプローチが必要でしょうか。―
先ほど、日本で市場流通型のカーボン・オフセットで用いられるクレジットには、京都メカニズムクレジット、環境省のオフセット・クレジット(J-VER)、自主参加型国内排出量取引制度(JVETS) の3つがあるとご説明しましたが、このほかに、都道府県がJ-VER制度にのっとって認証する都道府県オフセット・クレジット(都道府県J-VER)8)という制度があります。東京都の自治体の方々と、被災地の自治体が連携して、この都道府県J-VERを創出したり、また被災地で創出されたクレジットや、被災地支援に繋がるクレジット活用してカーボン・オフセットを実践することで、森林保全や再生を通じて、現地の復興支援や地域活性化を支援することができると思います。
やはり、ここでも、そのクレジットが安心して購入できるものであるか、見極める必要があると思います。例えば売り手の県が発行しているクレジットが、その県独自の算定方法であったり、場合によっては、対象となる森林が、環境省J-VERでオフセットしたにもかかわらず、同じ森林を県独自のクレジットとして認証してしまうなど、ダブルカウント(注9)してしまうというトラブルもありえます。環境省J-VER制度に準拠して厳格な制度でつくられているということが、独自のクレジットを選ぶ一つの目安となるでしょう。
―カーボン・オフセットの連携相手である自治体を探し、さらには、信頼できるクレジットであるかを見極めるとなると、カーボン・オフセットやクレジット認証制度について精通する必要もあり、それだけでも負担に思ってしまいそうですが。―
クレジット購入など、自治体の事業としては新しい分野であり、そこに精通した担当者が仮にいらしたとしても、何年かで異動される場合が多く、責任をもって、どのプロジェクトを何トン購入するのか、担当者が見極めるのは難しいと思います。このような意味で、自治体とオフセット・プロバイダーが一緒に取り組んでいくことは、可能性として考えられます。オフセット・プロバイダーの選定にあたっては、健全なプロバイダーを育成するため環境省が設置した「あんしんプロバイダー制度」(注10)を利用して、選ばれるのも良いと思います。当社もいよいよ発行されたクレジットをご紹介していくため、この制度に加盟する予定です。
また、オフセット・プロバイダーはさまざまな自治体の情報をもっているので、うまく活用して、例えば姉妹都市提携している都市から、自分たちとコベネフィットの連携ができそうな自治体をさがすこともできると思います。
ここで、わたくしどもからの提案ですが、自治体というと、やはり縦割り行政というものがあります。カーボン・オフセットを担当する部署は温暖化対策課など、一方で、姉妹都市を担当する部署は、観光課や産業課など、更に相手側の担当部署は森林整備課など、部署が異なります。自治体間の連携を図る上でも、自らの部署間どうしの連携を図っていくことも大切だと思います。
自治体同士での排出削減・吸収価値の交換
(出典:「自治体向けカーボン・オフセットガイドブック」(概要版)22頁」より)
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